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税理士によるコラム

所得の種類と必要書類
2020.02.05 スタッフ

確定申告書を作成しよう!!・・・でも何が必要?

前回のコラムでは確定申告が必要な人、そうでない人、したほうがお得な人を取り上げていました。
それを読まれて『よし、今年申告してみよう』と思いたったとしても『あれ?書類は何が必要なの』と思われる方もいるかもしれません。
そんな方のために今回は所得の種類とその必要書類についてまとめてみました。


【目次】

1.所得の種類
2.申告の際の必要書類
3.申告用紙について


1.所得の種類

所得の種類は10種類に区分できます!

1)利子所得
公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得
預金の利子などは源泉分離課税のため、申告の必要はありません。

2)配当所得
株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配から生じる所得。
基本的に確定申告不要制度があり、配当金が少額の場合や、個人が受け取る上場株式の配当などは確定申告が不要になります。
 
3)不動産所得
不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得。
わかりやすくいえば家賃収入などから生じる所得です。

4)事業所得
商業、工業、農業、漁業、自由業など、事業から生じる所得。
事業を行うことによって生じた所得です。一般的に個人事業主が該当します。
確定申告の申告書においては、営業等所得と農業等所得に分けられています。
※自由業とは・・・明確な定義がなく、「独立して一人で仕事をしている」「自由気ままなスタイルで仕事をしている」「自分で自由業が仕事だと公言している」この3点を抑えていれば認められると言われています。
5)給与所得
給料、賞与などの所得。
名前そのままのものですね。

6)退職所得
退職によって受ける所得。
退職手当、退職功労金、退職一時金と名称が違うこともありますが、退職することによって得た所得は基本的にこれにあたります。解雇予告手当もこれにあたります。

7)山林所得
5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、また立木のまま売った所得。
※5年以下の場合は事業所得または雑所得になります。

8)譲渡所得
事業用の固定資産や家庭用の資産などを売った所得。
ゴルフ会員権、船舶、車、土地、家などの資産が対象です。ただし、取得してから譲渡するまでの保有期間や譲渡するものにより内容・種類が異なりますのでご注意ください。

9)一時所得
クイズの賞金や満期保険金などの所得。
つまり臨時、偶発的に発生した所得です。

10)雑所得
ほかの9種類の所得のどれにも属さない所得です。
例えば
・年金や恩給などの公的年金等
・先物取引やFXでの収益

があります。

また
・非営業用貸付金の利子
・原稿料や印税、講演料
・インターネットオークション収入  …等
もありますが、収入が多ければ事業所得になりますのでご注意ください。

2.申告の際の必要書類

所得を明らかにできる書類を!!

申告書に収入や所得を記載するにあたって、その情報を参照するための書類が必要になります。
所得の区分に応じて、以下のような書類を用意します。

給与・報酬・賃金等がある方:源泉徴収票(原本)、支払調書(原本)
事業・不動産・農業所得がある方:青色申告決算書(白色申告者の場合は収支内訳書)
一時・雑所得のある方:支払内容のお知らせ
株の取り引きを行っている方:特定口座年間取引報告書、配当金計算書
土地や建物の譲渡があった方:譲渡時の売買契約書、購入時点の契約書、仲介手数料や印紙代の領収書等。その中でも事業所得、不動産所得、農業所得においては上記必要書類に書かれている青色申告決算書(白色申告者の場合は収支内訳書)を作成しなくてはならないのですが、その作成において必要なものがあります。
簡単に言うと
・年間の収入
・年間の経費

を証明する書類です。
収入は通帳に入ってきた金額や年間の収入明細、請求書等があれば把握できると思います。
経費はその収入を得るためにかかった費用(例えば不動産収入であればその土地、家屋に対する固定資産税など)の領収書などから集計していくため、それらの資料の保存が必要です。
レシートなどの細かいものもあると思いますので、経費の種類別にノートに張り付けたりファイリングをしておくと集計しやすくなるうえに紛失の恐れがぐっと減ります。


3.申告用紙について

申告書は青色、白色の2色!!

それって何が違うの?どっちがいいの?と思われた方に。

青色申告とは、事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う方が青色申告承認申請書を税務署に提出し日々の取引を所定の帳簿に記帳し、その記帳に基づいて正しい申告をすることで税金の面で有利な特典を受けることができる申告のことです。
青色申告の特典とは
・青色申告特別控除が受けられる。
事業所得 ・・・65万円または10万円
不動産所得・・・65万円または10万円(事業的規模かどうかにより判断)
山林所得 ・・・10万円
※事業的規模とは、貸与できる独立した室数が10室または家屋が5棟以上のことをいいます。
また、いずれの所得もある場合は、不動産、事業所得、山林所得の順に控除額を65万まで差し引くことができます。富士山(不・事・山)と覚えるといいですね。
※この控除は山林所得のみの場合は10万円が控除上限額になります。ご注意を。

・青色事業専従者給与の必要経費算入ができる。
不動産所得においては事業的規模に該当すれば可能です。
その他、少額減価償却資産の特例が使えたり、純損失の繰越しと繰戻しができたり、貸倒引当金を計上できるという特典がありますが、主に上の二つがメリットになるのではと思います。

ただし、青色申告をする際には注意点がひとつ・・・。
それは上述したように事前に「青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出しなければならないこと。
更にその申請書の提出期限は前年の3月15日になってしまうことです。
(新しく事業を始めた場合、初年度から青色申告を希望する場合は事業を始めた日から2ヶ月以内が期限になります)
よし、今年の申告から青色にしよう!と思っても残念ながら基本的にはできません。
ですが申請書を出せば翌年の申告から青色申告が可能になり特典を受けることができるようになりますので、まだ白色申告の方はぜひ申請してみてはいかがでしょうか?
※事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務がない方は、青色申告はできませんのでご注意ください。


今回は所得の種類と必要書類についてまとめてみましたが、個人により所得にも様々なケースがあると思います。
特に譲渡所得、一時所得、雑所得は突発的に発生するものもあるため、申告を見落とす可能性もあります。
自分の場合はどうだろう?と思った方は気軽にWING税理士法人にご相談ください。
次回のコラムは『所得控除について』です。

                                                
執筆者:清山 令子

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